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対話には、けっこう登場しています。「もってる?」「しなくちゃ」「今日は、ダイジョーブ」とか。
ところが、ブツとしてのコンドームは、意外に登場していません。
かつて、なんとかいう映画で、全身コンドーム姿というパロディーなシーンがありましたが。
なぜなんでしょうね?
なにも、そのものを装着するシーンとか、装着した部分を写す必要は、まったくない。べつに写してもいいけれど、日本の映像倫理は、化石時代だからね。
だから、パッケージに入ったままのものとか、パッケージから出して広げた状態のものとか、風船のように空気で膨らませたものなど、しゃれた(?)小道具として、使えるのにな。
これは、ひとえに映画監督の想像力の貧困のせいではないかとぼくは思っています。カンヌやヴェニスでグランプリをとったのはいいけれど、全体としてはね。けっして、調子いいわけじゃないんだ。これが。
つまり、多くの監督は、コンドームに関して、みずからの経験に即して(?)、「使用済」「事後処理」という、やや性交後の虚脱みたいなイメージにとらわれている。だから、ポジティブ・シンキングができないのです。
アワレ!
あれほどファンタスティックな造形美って、そうそうないと思うのは、ぼくが、変態だからでしょうか。
いいえ、断然違います!
通俗的に良識人を自認している人たちこそが、むしろ変態。彼や彼女たちは、「性」「性器」に関して、あまりにトラディショナルなイメージ、つまり、「性は隠すべきもの」「性器は醜い」「性を語ることは恥ずかしい」といったものを、不幸にも刷り込まれてしまい、そこから自由になれない。
これは、アワレです。
そもそも、性器を、手や足や顔と差別するなんて、一種のナチズムじゃないですか。
こういう人たちって、きっと障害者に対しても、ひそかに根強い差別意識をもっていたりするんだ。プン。
マジョリティーというのは、ほんとうに恐ろしい暴力です。
マジョリティーというのは、ほんとうに隠微な存在です。
それはそれとして。
すでに遠い過去となりつつある平成10年3月17日のことです。
この日は、ただの普通の一日になるはずでしたが、ところがところが、朝から「痛快破れかぶれ」の一日になりました。
日本のウォール・ストリート・ジャーナルこと、日本経済新聞を愛毒しておられる人は、気がついたかもしれません。
フッフッフ。ワーカホリックに毒がまわると、ドボン、ザブンになるのだぞい。
さて、その天下の日本経済新聞、ワーカホリックのヘロイン新聞の第26面は、全面広告。
全面広告といえばですね。しばらく前には、 「恋する惑星」 や 「天使の涙」 の金城武と、サッカーの中田英寿が、同じ日の新聞に、それぞれ別のページで、1ページ全面広告のモデルで登場しました。
広告界は、さすがにめざとい。いま、誰がウリなのか、したたかに計算しているのです。
でも、はっきり言って、金城武くんは、ここまででしょう。いっけん爽やかとはいえ、もともと演技は駄目だし、みょうに脂っこいルックスは、一歩間違うと、なんともウットーシー(鬱陶しい)。「勝手に近づいて、キスなんかしないでよ!」的な人になりかねません。
脱線はこのくらいにして、グイと本論に挿入いたします。
3月17日の日本経済新聞に載っていた全面広告とは、相模ゴム工業株式会社のもの。
いえ、雨合羽の広告ではありません。ゴム長靴の広告でもありません。ゴムヒモの広告でもないんです。
じゃ、なんだ? コンドーム、コンドーム、コンドーム。いまや高校生の生活必需品にまで成り上がったコンドームの広告。
その広告のキャッチフレーズは、「政治、経済、コンドーム・・・・・日本は、いま、ガマンの時代だ!」
政治はメチャクチャ。経済もグチャグチャ。コンドームも、ビチャビチヤ・・・・・ではないんです。
政治と経済は、混迷をきわめて前途不明になっていますが、コンドームは、混迷しているわけじゃない。
その意味から、この広告のコンセプトの理論は、基本的に破綻しているのです。
政治と経済は、ガマンの問題じゃない。あんな馬鹿げた破廉恥田舎芝居に、税金をとられたうえに「ガマンまで強いられる」義理は、ないよん。
まっ、政治と経済はガマンしないとして、なんでコンドームがガマンの時代なのかは、この世界に精通していないと理解できません。
では、ただちに精通いたしましょう。
相模ゴム工業株式会社様におかれましては、さきごろ、コンドームの新製品を発売なさいました。
「サガミオリジナル」・・・これが、その新しいコンドームの商品名です。
6個入り1000円。12個入り2000円。まとめ買いをしても安くならないところが、ニクイですね。
どうせなら、「7個入り1000円」にしてほしかった。これだったら、ちょうど「1週間分?」になる。「1日1錠・食後30分に服用」の健康栄養剤みたいに。
え? 7個だと1カ月もつ? そんな・・・ことも・・・人によっては、アリなんですかね。
そ、そりゃ、そういう人もいていいのです。6個入りを、何日で消費するかは、個人の自由。一日で使い切ったって、罰は当たりません。
親だって、教育委員会だって、会社の上司だって、この問題に介入すべきではない。
環境問題に敏感な人だと、「使い捨ては、許せない」と、リサイクルを提唱するかもしれません。
しかし、ご安心(?)ください。新製品「サガミオリジナル」は、ゴム製品ではありません。
ポリウレタンですよ、ポリ売れたん。
新素材ポリウレタンは、高分子素材。たとえば、人口心臓のポンプ部分とか、血管カテーテルに使われているスグレモノなのです。
どういうふうにスグレモノなのか。以下で、メーカーの説明を注釈つきで、代弁いたします。
- ●薄さ半分(30ミクロン)
- 30ミクロンとは、「指紋も感じとれる」くらいの薄さだそうで。あ、もちろんペニスで指紋を感じとることは・・・まず、ないですね。
だって、そうじゃないですか。挿入した箇所に指紋なんてあるわけない。あったら、化け物です。
だから、「もし、指にはめたとしたら」の話です。ただ、あれを指にはめる人って、いないよね。そんな太い指の人もいないことだし。いたら化け物。
- ●限りなく自然な透明性
- コンドームを意識させないほどの自然な透明性が、特徴とのこと。ふん、ですね。
銀行の経営内容の透明性は、公的資金投入との関連で、つおく求められていますが、ねえ。ペニスに自然な透明性があっても、ねえ。アレって、コンドームを装着して「見せる」ものじゃないでしょ? 露出狂を除けば。それに、露出狂さんは、そんなもの絶対に装着しないだろうし。
むしろ、していることが歴然とわかるほうが、相手は安心するんじゃないのかな。
- ●高い熱伝導性
- 体温を瞬時に伝える熱伝導性だって。瞬時? べつに、一瞬を争うほどのものでもないのでは? それと、瞬時に伝えたって、感じるほうが瞬時に対応できなけりゃ、意味ない。受け入れ側がどのくらい温度に敏感なのかは、ぼく、まったく知りません。だって、受け入れたことなんか、一度もないんだもん。
そりゃ猥褻文学的にいえば、「微熱というよりは、灼熱を帯びたようなもの」のほうが、迫力はあります。でも、「その時、彼は、おのれの熱を瞬時に伝えるために、あえてポリウレタン製のコンドームを使用した」なんて・・・・・化学の授業みたいで、ねえ。
- ●強さ3倍
- たしかに、強いにこしたことはありません。半分の薄さで、強さ3倍なら、そりゃウェルカムしないでもないけれど、だからといって、3倍激しく使って3倍の幸福感なんてこと・・・・ないのでは?
べつに、アクロバットするわけじゃないんだし。風船にして飛ばすんだったら、とてもありがたいことだけど、ね。
とかなんとか言っているうちに、友人(某テレビ局のディレクター)で、「ぼく、使ってるよ」というヤツが出現しました。
さっそく探究心。「どう??」「どうって、なにが??」「使い心地だよ」「うーん、あんまり変わらないというか、ゴムのような伸縮感がないんで、イマイチだね」
それで肝心なことは、その広告のキャッチフレーズ「政治、経済、コンドーム・・・・・日本は、いま、ガマンの時代だ!」。 なぜ、コンドームがガマンなのかというと、売り切れ続出で、入手が困難。だから、すこしガマンしてくださいと、相模ゴムさんは、訴えているのでした。
なってったって、ポリ売れたん・・だもんね。
では、性交をガマンするのか。伝統的なゴム製品でガマンするのか。そのへんが、広告では明確ではなかったのですが、どうしたものでしょうか。
なお、一部マスコミの報道によると、このポリ・コン(ポリウレタンのコンドーム)には、穴のあいた製品があったとか。
ギャフン・・・というより、笑えてしまう。穴あきコンドームというのも、世界初だよ。
●薄さ半分
●限りなく自然な透明性
●高い熱伝導性
●強さ3倍
もいいけれど、
●穴あき製品もある
を、特徴のひとつに列挙すべきです。
穴があったら入りたい気持の相模ゴムさんのご検討とご健闘をせつに祈っておきましょう。つんつん。
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