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1998年10月7日の訃報

ワシントン・ポスト紙はかく語りき

勝手に映画ネチズン・ホームへ

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 このまえ、珍しく、アメリカ製のレーザーディスクで、古い日本映画を見ました。東宝の「ノストラダムスの大予言」というやつです。

 障害者差別的なシーンが問題になって、国内では、永久お蔵入り、つまり幻の作品となっているものです。
 ゲテモノかと思ったのですが、けっこうマトモな未来論的な映画で、マジメに見てしまいましたよ。はい。

 あの時代からすると、現代は、まさに近未来そのものなのですが、1998年10月7日付けの「ワシントン・ポスト」紙の報道は、なかなか読ませるものでした。

 その記事のタイトルは、
DEATH OF 3 SALESMAN
「PARTNERS IN SUICIDE」

 むかし、「セールスマンの死」という、舞台劇を映画したものがありましたが、ここで言う3人のセールスマンとは、例の自動車部品販売業社長集団(?)自殺事件(1998・2・25)の主人公たちのことです。

 余談になりますが、あの社長さんの会社に勤めていた青年の一人を、ぼくは、親しく知っています。
 彼はいま、静岡へ帰ってきて、福祉職をめざして修行中ですが。
 さて、その記事によると、彼らは、首を吊るまえに、最後の乾杯をしたそうです。
そして、
「They hanged themselves together in cheap hotel in suburban TOKYO」
 チープホテルという表現が、哀れを誘います。

 「かつてはメルセデス・ベンツを運転していた男たちが、最後に食べた食事は、コンビニの弁当であった」という記述も、涙を誘います。
 そして、3人のうちの一人は、「これからすることの恐怖にたえきれず、両手を後ろで縛るように仲間に依頼した」とあります。

 そして。
 3人のうちの一人の父親のコメントと写真までもが、掲載されていました。その父親は、憔悴した目からにじむ涙をぬぐいながら、「たとえホームレスの乞食になってもいいから、息子に生きていて欲しかったと、心から思います」

 なんか胸のつまる報道です。

 しかし、8カ月も前のことを、いまごろ書いていることには、レッキとしたワケがあります。
 これは、いわばイントロダクションで、メインテーマは、かっては太陽の昇る国といわれた日本の黄昏でした。

 以下、その論旨をサミングアップしてみましょう。

  • アジア経済の不振のため、タイ、インドネシア、韓国などの中流階級は、子供たちに、もはや快適な衣食住や教育を提供できなくなっている。

  • しかし日本では、様相が違う。8年にわたって降りそぼる長雨のような不況のせいで、「もはや日本の空は、ふたたび太陽に輝くことはないだろう」と市民は観念している。

  • ところが、この豊かな国においては、個人貯蓄が平均7万ドルもあり、女性も子供も飢えてはいない。子供たちは健康で、それなりのいい学校に通っている。

  • 100人の日本市民を取材してみると、彼らは、もはや政府を信用していないし、「輝かしい日本は、もう永久に戻ってはこないだろう」と感じている。

  • いっぽう中国の田舎には、トイレのない家に住む人もいるが、彼らは、自分の国の未来について希望をもっている。

  • ある日本人いわく、「まるで、真綿でゆっくり首を締められていくみたいな状況だ」

  • 日本では、自殺者の増加が目立ち、約10万人が、借金苦で夜逃げをしているという事実もある。

  • 零細企業者は、資金難のためヤクザから金を借り、そのレートは年利28%から40%にもなっているという。また、約1500万人が、個人破産の瀬戸際にいるという。

  • しかし、こうした状況にもかかわらず、多くの日本人は豊かで楽天的であり、エコノミストのなかにも楽観論をとなえている人もいる。

  • 市民は、未来に対して、とてつもないプレッシャーを感じているが、この不安感は、第二次大戦後初めてのものといっていい。いま日本では、年間に24000人の自殺を出しているそうだが、ただしこのデータは、「自殺行為により、24時間以内に死んだ人」だけしか含まれいないから、統計として不正確。少なくとも50000人は自殺を試みていると推定していいだろう。

  • これは、この10年間における「日本社会の劇的な変化」なのである。

 ・・・・・ということです。

 この夏、東京のユーロスペースでは、賛否両論というよりは否論のほうが多かったらしい「鬼畜大宴会」なる映画を上映していましたが、「成り金幻想によって自己崩壊していく日本人たちとって、この映画は痛烈なメタファーになっている」と、いえなくもありません。

 謹んでご冥福を祈りましょう?

(1998年10月13日)

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