『セルロイド・クローゼット』のDVDが出ます!
アップリンクより9月28日発売。4700円。予約受付中(03-5489-0755)
97年に劇場公開された名作『セルロイド・クローゼット』の待望のDVD化!
すでに、多くの方がご存知のこととは思うけれど、老婆心(最近この言葉が実感になってきた・・)から一言ご説明すれば、クローゼットとは、同性愛者が自分のほんとうの姿を隠す(隠させられる)こと。
セルロイドはもちろん映画のフィルムのことで、これはつまり、映画の中で、いかに同性愛者が、「そんなものは存在しない」ことにされてきたかについてのドキュメンタリー。
映画史のごく初期には、なんの規制も存在しなかったから、同性愛をありのまま表現してもよかった。だが、ハリウッド的退廃が、良識ある社会に対して有害だという見方が固まってくると、映画界は、公的な検閲を恐れて、自己規制を始める。1920年代に、ほぼ固まっていった、映画製作者配給者協会の会長ウィリアム・ヘイズによる、いわゆるヘイズ・コードがそれ。性や暴力の描写が制限され、同性愛も「異常性愛」として斥けられた。
1960年代に入ると、さすがのヘイズ・コードも時代に合わなくなり、TVとの差別化も必要になって、映画は性や暴力の表現を一気に加速させる。でもその中で、同性愛者は、「異常な殺人鬼」などのエキセントリックな役割を担わされただけだった。ごくまっとうな生活人である同性愛者の、ごくまっとうな恋愛としての同性愛は、1980年代になって、ようやくきちんと表現され始める。
さらに、近年は「硬直した多数者・権力者」に対する告発・脱構築のための装置として、同性愛を先鋭に表現する映画もある。
ちょっと堅い話になってしまったけれど、この記録映画は、多くのハリウッド・メジャー作品を引用しながら、そうした歴史をまざまざと、文字通り息もつけない迫力で現前させる。証言に立つ勇敢な俳優は、『フィラデルフィア』でエイズに倒れる同性愛者を演じたトム・ハンクス、『ハンガー』でカトリーヌ・ドヌーヴとのキスシーンを演じたスーザン・サランドン、『噂の二人』でオードリー・ヘプバーンへの恋を恥じて自殺するレズビアンを演じたシャーリー・マクレーンたち。
ちなみに、「あの解釈は間違っていた。恥じるのでなく、自分の愛に誇りを持つべきだった」と激しく語るマクレーンは、最近、女装に心の慰めを見出す天才少年の物語『ぼくが天使になった日』を監督した。
だが、いちばん面白くかつ感動的なのは、禁じられても同性愛者たちがこっそり映画に忍び込ませた、「仲間たちへの目配せ」の数々。『ベン・ハー』に隠されていた秘密など、あっと驚く「歴史の謎解き」のわくわくがたっぷり。映画表象における同性愛の変遷を一挙に知ることができる、現代人必携のDVDとさえ言いたい。
|