backnumber We are the middle children of history with no purpose or place. We have no great war,no great depression. Our great war is spiritual war. Our great depression is our lives.

Copyright 1996-2002 by Yukio Pitt Kimura all right reserved.
link
about

#532 まばゆくもある偶像破壊! 絶妙すぎるシューベルト!
ミヒャエル・ハネケの「ピアニスト」
3/24NEW
2時間12分、身じろぎもせずに、スクリーンを凝視してしまった。
ミヒャエル・ハネケの「ピアニスト」は、ブリュノ・デュモン「ユマニテ」以来の衝撃である。

こういうことがあるから、映画は、やめられない。生きていることも、またやめられそうもない。

ウィーン国立音楽院のピアノの教授であるエリカ、40歳。その指導は厳しく、音楽に向かう姿勢は、凛として、じつに魅惑的である。

しかし(という言葉は不適切なのだが)、彼女は、夜の公園でカーセックスの覗き見をするし、アダルトビデオショップの個室で、もともとは男性向けの無修正ビデオを鑑賞するばかりか、ダストボックスに捨てられている男性の体液のにじんだティッシュペーパーの匂いを嗅いだりもする。

そして、自室のベッドの下には、SMプレイの道具。

父親は彼女が幼いときに精神障害をわずらって死に、母と2人きりの生活。母親の呪縛から逃れるための反作用としての、さまざまな性的な行動。

それをベースにして、クラシック音楽と大学教授という閉鎖社会の病弊と偶像を、ハネケは、小気味よく破壊してやまない。

それは、ナンニ・モレッティが「息子の部屋」で、精神科医の偶像を破壊したのとは比較にならない鮮烈さである。

エリカは、教え子との恋におちる。「私を縄で縛って、傷めつけてほしい」と彼女は、手紙で告白する。しかし、彼とフェラチオをしたときは、嘔吐してしまう。

彼女が抱えている性的欲望を含む「情念」と、彼女が出会う「現実」との奇妙なきしみが、清冽ともいえるリアリズムで、クールに描き出されていく。

ときとして流れる、シューベルトのピアノ。
「冬の旅」から「村で」「嵐の朝」。
沈黙の音とでもいいたくなるような静謐なピアノ。

後期シューベルトの狂気を孕んだ孤独が、エリカの実像に重なっていく。

ぼくは、マーラーよりもシューベルト、とくにリヒテルが演奏する後期のピアノソナタに、たまらなく魅せられるのだが、その理由がわかったような気がしてしまった。

ふふふふふ。

おそろしく知的で、おそろしくエロチック。
あなたも、この作品と対峙することで、みずからが内部に抱える意識の偶像を破壊してほしい。

これは、類まれな、異色の教育映画である。

3/24

#532

まばゆくもある偶像破壊! 絶妙すぎるシューベルト!
ミヒャエル・ハネケの「ピアニスト」

#531

わが偏狭と孤高に光射すな!
2001年 ぼくのベストテン

2/19

石原郁子の場内乱入17

文明と言う名の欺瞞 獣よりも獣的な欲望
『マルコヴィッチの穴』のS・ジョーンズがふたたび放つ不思議世界!

石原郁子の場内乱入16

凄まじい犠牲の上で敢然と映画づくりをした小川紳介
感動的な白石洋子の「逃げない勇気」

12/24

#530

美男の末路 世界の末路
「スパイ・ゲーム」のピットはかろうじてカッコいいね

12/15

#529

1月12日(土)・19日(土)あなたとシネマ・テロリストのおしゃべりな夜!
「女が女ではなく人間として生きる」ということはむしろ「男の問題」なのかもしれないよネ?

11/16

石原郁子の場内乱入15

イスラエルからの挑発
「内なる無意識の他者無視」を撃とう!

10/28

#528

THEY DIED AND DIED IN A NO-MAN'S LAND
・・・モフセン・マフマルバフが語る「誰も知らないアフガニスタンPART2」

#527

この20年間 この国では5分ごとに1人が死んでいった
・・・モフセン・マフマルバフが語る「誰も知らないアフガニスタン」

9/16

#526

動くバスキア 動くクレメンテ
そしてぼくは映画的に失明した・・・

石原郁子の場内乱入14

「硬直した多数者・権力者」に対する告発・脱構築のための装置
あっと驚く「歴史の謎解き」!

HEAD | TOP PAGE | BACKNUMBER | LINK | ABOUT


#531 わが偏狭と孤高に光射すな!
2001年 ぼくのベストテン
3/24NEW
すみません、いまごろになって。
でも、いちおう決着をつけておきます。
  1. ユマニテ
  2. ブラックボード
  3. 夏至
  4. イディオッツ
  5. フリークスと人間と
  6. ディスタンス(日本映画)
  7. レクイエム・フォー・ドリーム
  8. ドルチェ
  9. モレク神
  10. GO(日本映画)

それでは。

まずは、2001年に見て、印象に残った作品群。
新旧差別せずに、かなり無思慮に、リストしてみます。

  • 小人の饗宴
  • ジュリアン
  • 世界の終わりに(ポルトガル映画)
  • フリークスと人間と
  • イディオッツ
  • モレク神
  • ドルチェ
  • ユマニテ
  • ディスタンス
  • ブラックボード
  • GO
  • レクイエム・フォー・ドリーム
  • 夏至
  • パリ・18区・夜

なんだ、これきしか。
このなかで、2001年劇場公開作品でないものは・・・・

  • 小人の饗宴
  • ジュリアン
  • 世界の終わりに(ポルトガル映画)
  • パリ・18区・夜

うーん、いずれも捨てがたく好きだなあ。
とくに、「ジュリアン」と、「パリ・18区・夜」。

そうなると、残りは・・・・・

  • フリークスと人間と
  • イディオッツ
  • モレク神
  • ドルチェ
  • ユマニテ
  • ディスタンス
  • ブラックボード
  • GO
  • レクイエム・フォー・ドリーム
  • 夏至

これで、ちょうど10本。
偶然だけど。

そこで、次点用の敗者復活戦。

  • 真紅の愛
  • 事のおわり
  • ハムレット
  • リトル・ダンサー
  • ユリイカ
  • ザ・メキシカン
  • ジーザスの日々
  • 山の郵便配達
  • サマー・オブ・サム

いやいやチョイスすると、「山の郵便配達」かなあ。
では、ランキングしてみます。

まず、上位におきたいもの・・・・・

  • フリークスと人間と
  • イディオッツ
  • ユマニテ
  • ブラックボード
  • 夏至

トップは、もう迷いません。見たときから、決まっていました。

  1. ユマニテ
  2. ブラックボード
  3. 夏至
  4. イディオッツ
  5. フリークスと人間と
  6. ディスタンス
  7. レクイエム・フォー・ドリーム
  8. ドルチェ
  9. モレク神
  10. GO

もし、「ジュリアン」を2001年分に含めるなら、ベストテンは、以下のように変わります。

  1. ユマニテ
  2. ジュリアン
  3. ブラックボード
  4. 夏至
  5. イディオッツ
  6. フリークスと人間と
  7. ディスタンス
  8. レクイエム・フォー・ドリーム
  9. ドルチェ
  10. モレク神

いまさら、とくに語りたいことはありません。
「ユマニテ」を見て以降、ぼくは、映画的には寡黙になりました。
もともと寡黙な人だけど。
クフ。

それにしても、偏狭だよなあ。
そういう自分が、好き、なんだけど。
プフ。

4/24

#532

まばゆくもある偶像破壊! 絶妙すぎるシューベルト!
ミヒャエル・ハネケの「ピアニスト」

#531

わが偏狭と孤高に光射すな!
2001年 ぼくのベストテン

2/19

石原郁子の場内乱入17

文明と言う名の欺瞞 獣よりも獣的な欲望
『マルコヴィッチの穴』のS・ジョーンズがふたたび放つ不思議世界!

石原郁子の場内乱入16

凄まじい犠牲の上で敢然と映画づくりをした小川紳介
感動的な白石洋子の「逃げない勇気」

12/24

#530

美男の末路 世界の末路
「スパイ・ゲーム」のピットはかろうじてカッコいいね

12/15

#529

1月12日(土)・19日(土)あなたとシネマ・テロリストのおしゃべりな夜!
「女が女ではなく人間として生きる」ということはむしろ「男の問題」なのかもしれないよネ?

11/16

石原郁子の場内乱入15

イスラエルからの挑発
「内なる無意識の他者無視」を撃とう!

10/28

#528

THEY DIED AND DIED IN A NO-MAN'S LAND
・・・モフセン・マフマルバフが語る「誰も知らないアフガニスタンPART2」

#527

この20年間 この国では5分ごとに1人が死んでいった
・・・モフセン・マフマルバフが語る「誰も知らないアフガニスタン」

9/16

#526

動くバスキア 動くクレメンテ
そしてぼくは映画的に失明した・・・

石原郁子の場内乱入14

「硬直した多数者・権力者」に対する告発・脱構築のための装置
あっと驚く「歴史の謎解き」!

HEAD | TOP PAGE | BACKNUMBER | LINK | ABOUT